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ブクハンvol.3 アフターレポート02

2021年12月5日(日)に開催したブックハンターセンダイvol.3

アフターレポート_2は、主に、出展者の方、これから本をつくって委託イベントに出展してみたいと考えている方、はたまたイベントを開催してみたいと思っている方に向け、今回のイベントのデータを開示します。

規模の小さな催しですが、何かしらの参考のひとつになればと思います。


集客

お買い物代行利用の方

リアル会場来場者   

 12名  41名

お買い物代行には5名ほど、リアル会場への来場は30名ほどをなんとなくの目標にしていました。
作家のみなさまの力のおかげ、また、イベント支援のお気持ちをいただいた結果と受け止めています。ありがとうございます。

 

 

集客のために……

・ウェブ:Twitter・Instagramで発信するとともに、ジモティにイベント登録。

・街の人に向けて:

1)フリーペーパーの製作

地元に住む方に、インディーズブックに興味を持っていただけるよう、7月・9月にインディーズブックにまつわるフリーペーパーを作成しました。

2)DMの配布

10月中旬以降、仙台市内のブックカフェ・古書店・書店、アートギャラリー、せんだいメディアテーク・仙台市市民活動サポートセンターへDMを置かせていただきました。

インディーズブックバザール出展者に協力をお願いし、11月開催の奇数アトリエ出展時に配布を行っていただきました。また、市内図書館関係の方へ配布を行いました。

 

課題:COVID-19対策や、メンバーの生活圏の都合など、街中にDM配布を行える範囲や期間が限られました。周知について、協力をあおぐ方法など要検討。


販売数

納品総数 リアル販売数 ウェブ販売数 販売総数
 296冊  117冊 42冊 159冊

価格帯による販売数

納品数 販売数
 400円以下 97冊 70冊
500-900円 141冊 74冊
1000円以上 58冊 15冊
合計 296冊 159冊

以下、開催当日を振り返って、運営メンバーの観察と感想です。


買い物の傾向

・ZINEのような本や造本の凝った本が早い段階からよく売れた印象。今回、エッセイ・ノンフィクション的な本の出品が少なかったのも関係しているのかも。

 

・じっくり見本品を読む人が多かった。中身も読まれた上で、購入に至っていた。

 

・同じ価格でも、造本のしっかりしたものの方が手に取られやすかった。

 

・ポスター・ポップ効果もかなりあった。ポスターも表紙を印刷しただけではなく、しっかり内容やあらすじを書いたほうが足を止めてもらえる様子あり。見本誌だけでも帯を付けるなど、本の内容が初めて見る人にわかると、実際手に取られやすかった。

 

・薄めの本、200〜300円の本などは手に取りやすく、「とりあえず何か一冊買って帰ろう」という方は手頃な価格を選んでいたようだ。

 

・同じ作家さんが複数出展しているものの中でも、手頃な価格の作品よりも、造本にこだわったことのわかる価格の高いものの方が売れ行きのいいこともあった。見本をじっくり見ているだけに、しっかり本を選んでいる様子が伺えた。

 

・一人で複数冊買うひとが多く、驚いた。3点1000〜2000円購入する人が多かったように思う。

 

・続き物の本よりも、一冊で完結している本が好まれた。

 

・『委託販売イベント』という状況も考慮必要。作家さんがひとりずつ作り上げたブースの中で本を見ることと、会場全体に陳列された本の中での比較では、選ぶ行動は変わってくると思う。「絶対この本を買いたい」と狙いを定めてこられる方もいらっしゃれば、「イベントに来たから、なにか買って帰りたい」「何冊か買っていきたい」という方も。

 

・1000円以上の本であっても、売れないというわけでもなかった。なぜその価格なのか、その理由がしっかり伝わっていると、むしろ「その本がほしい」と購買意欲を刺激される。


ご来場の方

・年代は20〜60歳代ほど、男女でどちらかに偏ることはなかった。

 

・おひとり、友人同士、家族連れ、さまざまだった。

 

・来場したきっかけ(入り口で連絡先記載の時などに軽く伺った範囲):SNSでブクハンを知っていた、書店でDMを手にした、出展者や運営メンバーの知人、ギャラリーチフリグリ関係者、隣の水玉カフェで食事している際に「なんのイベント?」と話していたらカフェ常連さんがDMを渡してくれた。

 

・一人あたりの会場滞在時間が長かった。購入する・しないに関わらず、じっくりと本や展示物を見ていた。

 

・インディーズブックを初めて手に取るという方が複数いた。

 

・一度退場してから、ふたたび入場して、繰り返し本をご覧くださる方がいた。


イベント収支

イベントを開催してみたいと考えている方の参考になればと思います。

(メンバー個人が持ち出しで作成した会場設営品など、支出に含まれていないものもあります)

繰越赤字や持ち出しによる負担がふくらみイベントが継続できない、という事態にならないよう、注意してゆきたいと思っています。

収入
 売上高(グッズ販売)  3900円
雑収入(出展料) 34500円
収入合計 38400円
支出
繰越赤字 -18640円     
荷造り運賃

-2814円

外注工賃(DM印刷料) -2650円
雑費(感染対策費・梱包用品・会場設営用品の一部) -4007円
賃借料 -15400円
支払い手数料(委託売上振込に関わる) -1625円
交通費(DM配布・会場への搬入搬出に関わる) -5775円
支出合計

-32271円

繰越赤字を含めた収支総計 -12511円
 2021年のみの収支総計

 2229円

※12月25日時点の収支です。まだ支払い手数料が増える見込み。
繰越赤字については、グッズ売上から補填し、2021年の収支総計黒字文は、2022年以降の経費としてストックします。


『委託販売』という形態のなかで、今回、購入に至りやすい価格帯はありましたが、

手のこんだ本は、手のこんだ分だけ、それが価格に反映されているといいなあと思います。
中身を練り上げるのにも、本をデザインするにも、造本するにも、知恵と根気と勇気と時間が必要です。時間は、そのひとの命です。

 

展示では見本品をじっくり見ていただけたので、販売という形ではご縁がなかったとしても、『本を開く』というアクションが成功した本は、地元の方の目に飛び込んで、興味を引いていました。

ここではないどこかで、なにか別の扉が開くことも、あるかもしれません。
すでに、ご覧になった誰かのドアは開いているのかも。

 

 

 

今回、会場にずらりと並んだインディーズブックを前に、それだけで感無量でした。
久々に、エネルギーのつまった物質に囲まれて。
本を預けていただいた出展者のみなさまには、運営メンバー一同、心より御礼申し上げます。

 

「一次創作本とはなんですか?」

「ZINEって?」「同人誌って?」という声が聞こえたのも、印象的だったリアル開催。本をつくることに馴染みがなければ、確かに聞いたこともない単語です。

 

ZINE・同人誌・ミニコミ・リトルプレス……様々な自主制作本を、ぐるっと包もうとした『インディーズブック』という風呂敷。

 

出展者の方には、なるべく色々な方に、本を見てもらう機会を作れるように。

ご来場いただく方には、さまざまな豊かな世界に触れてもらえるように。

ここ、宮城で、インディーズブックで遊べる土づくりを、今後も続けていきたいと思います。